黒須瑞枝のブログTreasure hunt in nature
-あちらこちら宝探し-
2023/ 05/ 15
金環皆既日食を振り返って
今回の日食、写すことのできた写真は、BORG107FLとオリンパスOMDEM1Ⅱによる超望遠撮影(35mm換算1200㎜)のみでした。その写真で今回の日食を振り返ってみました。
ダイヤモンドリングは、平べったく、第2接触、第3接触とも、それほど印象的ではなく、皆既になった時、終了した時、劇的な感じはいつもより少なかった感じでした。


皆既中は、大きく迫力のあるプロミネンスが出現したことが印象的でした。
全周性にプロミネンスが見えていた時の写真です。わかりやすいように色を強調しました。


また、太陽活動が活発なため、外部コロナも全方向に広がっていました。

ただ、皆既中の状態というのは、写真に写っているのと自分の目で見て記憶に残っているものとは全く違います。今回は、よくよく見ていたにもかかわらず、幻のようにふわっとしていて私の記憶もあやふやですが、できる限り思い出して、パステルで描いてみました。

もっと細いリングだったかもしれないのですが、暗い色の太陽の周りに、ふわっとしているやさしい印象のリング状の光が輝いていて、ところどころピンク色のプロミネンスが混ざっているように見えました。背景の空はくすんだ紫色でした。
金環皆既日食は、特に皆既中が美しいであろうということは予想していました。10年前のガボンの時の金環皆既日食がまさにそうで、繊細な炎が細いリング上にメラメラと輝いていたのを記憶しています。それを今回も期待していたというか、そう見えるのではないかと先入観をもって観察してしまったのですが、全く違いました。今回はふんわりやさしくリング状に輝いていて、幻のような、つかみどころのない美しさでした。
日食というのは毎回違って、どのようなプレゼントがあるのかは、その時のお楽しみなのかもしれません。毎回まっさらな心で迎えた方が良いのかも。ただ、よくよく感覚を研ぎすましていないと、見どころを逃してしまいます。
今回、広角2つ、魚眼と3つすべて失敗してしまいましたが、原因がわかりました。連職食分撮影をしていたので、5分おきにレリーズで自動で写していたのですが、ブラケット設定のため、1回写すたびに3枚ブラケットなら3秒ずつ、7枚ブラケットなら7秒ずつ、時間がずれてしまっていました。皆既の1時間半前から写しているので、5分おきに3秒ずれたら54秒ずれてしまい、今回のような59秒しかない皆既の時間では、皆既のタイミングをはずしてしまい、露出オーバー写真となっていました。
連続食分撮影は全滅したので、せめて望遠鏡写真のショットを並べてみました。

最後にタイムラプス動画です。
振り返ってみて、日食観測は天候にも恵まれ、よく観ることもできたし、望遠鏡では写すことができたし、ベストは尽くしたと思っています。
それにしても、今回は荷物が多すぎました。また古いカメラでの不調もありました。
古いものを大切に使うのも良いのですが、もう少し身軽にしていかないと身動きが取れないこともわかりました。今後は、本当にやりたいことだけにして、軽やかに楽しむ方法を模索していきたいと思います。
プロフィール
●黒須瑞枝(皮膚科医)
●出身地:北海道
●出身校:獨協医科大学
●趣味:旅行、写真(昆虫、植物、生き物、風景、日食、月食、星空など、自然のものなら何でも)
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スケッチを拝見しました。
プロミネンスがコロナを背景に浮かび上がり、それはそれは幻想的な佇まいでしたね!
ガボン金環皆既日食との比較も興味深かったです。
今回は場所が場所だけに少し迷いましたが、思い切って出かけて本当に良かったです。
usachan様
私のスケッチとusachan様の記憶に残ってる姿は、かなり違ってますか?(笑)
今回の日食旅行は、ガボンの時の金環皆既の見え方と比較して、似たように見えるものなのかどうかを確認したい思っていました。というのも、1回目に観たガボンでの日食が今までの中で一番印象的で、これを超えるものはないのではないかと思っていたからなのですが、結果的に全く違う見え方をしていて、今まで出会ったことのないまた別の美しさがあることを知りました。
今回の経験で、それぞれの日食には、予想できない魅力が潜んでいるものと思えるようになり、どの日食でもますます楽しみに思えるようになりました。
それにしても、今回の日食観測地は、本当に行きにくい場所でしたね。
日食の総集編、美しいです!
私はコロナよりプロミネンス派(?)なので3枚目は鳥肌もの。
みとれてしまいました。
コロナの処理はR-USMですか?
それだけでなく、なにか加えてフワッとしていて、まさに先生が感じられた通りに仕上がったのではないでしょうか。
そういえば新潟出身の天体写真家、沼澤茂美さんが回転を用いない方法でコロナの流線構造を表現されたことがありましたが、それに似ています。
組み写真もこれだけ仕上げられれば十分すぎるでしょう!
さすが日食のベテランさんだと感心します。
タイムラプスもブレが無く素晴らしい!
画像処理に苦労されたことでしょう。
これだけの成果を得られれば、大成功の日食ツアーでしたね。
ecl様
ありがとうございます。
そのように言っていただいて、とてもうれしいです。
思えば、eclさんの今までのアドバイスがあったからこそ、なかなか手を出しにくい望遠鏡や赤道儀を日食撮影に使えるようになったと思っています。ガボンの時には考えられなかった事です。
今回のいちばんの見どころは、やはりプロミネンスでした。ループ状、角状、他にも多様な形のものが出現していて華やかでした。天然のものって良くできていますよね。
コロナの処理は、PsでRAW画像のハイライトを下げたり、テクスチャーや明瞭度を上げたり、白レベル黒レベルの調整などいろいろやっているうちにできたものです。R-USM処理は苦手なのでやりませんでした。
広角系が全滅したにしても、私にしては大成功と思うようにしています。
それから、今回の締めくくりに、やはりきちっと日食記録集に参加することにしようと思います。いつかわからないですが次回につなげるためにも・・。
なるほど、先生独自のコロナの画像処理だったのですね。
素晴らしいです!
回転アンシャープマスクは、プロミネンスや恒星の跡が緑色や円弧痕になったりする弊害がでるので、こちらの方が自然で良い感じ。
今度ガボンの会などでお会いすることがあったら、是非教えて下さい。