黒須瑞枝のブログTreasure hunt in nature
-あちらこちら宝探し-
2024/ 08/ 25
東チベット旅行 体調管理の振りかえりと今後について思うこと
6月20日~7月2日までの東チベット旅行は、13日間の旅行中、11日間は標高2000m~5000m台の場所に滞在するため、一番の心配事は高山病でした。結果的に人並み程度に山酔いの症状はでて、そのほか胃炎や風邪もひきましたが、無理はしなかったので、それほど困ったことにはならずに済みました。今後のためにも、体調面を中心に、大変だったことに焦点をあてて、振り返ってみたいと思います。
●1日目 成田空港行きバスが、稲敷IC付近で渋滞に巻き込まれてしまい、成田空港まで30キロくらいのところで、2時間以上動かなくなってしまいました。16時40発の飛行機なのに、バスは15時過ぎても動きません。最初は何とかなるだろうと思っていましたが、「もしかして、本当に行くことができないというもこともあるのかな・・」という絶望的な気持ちがよぎりました。幸いバスが動き始め、ぎりぎり間に合いました。15時45分に、四川航空カウンターでチェックインし、その30分後には飛行機の座席に座っていました。
空港から成都市内に向かうバスの中からの眺め。
こういうトラブルは初めて。対策のしようがないです。
●2日目 翌朝、麗江に向けて飛行機で出発。成都の標高は500m、麗江は2000m以上の事から、朝、高山病予防薬のダイアモックス125mgを内服しました。ただこの薬は利尿作用があるため、トイレが近くなります。移動中は、トイレに行くタイミングが難しいので、困りました。
麗江では、山酔い症状は感じませんでしたが、ダイアモックスのためかわかりませんが、なんとなく食欲不振のような、なんか体がしっくりしない不快な感じがしたので、ダイアモックスは、この日の朝と夕方に飲んでやめてしまいました。
★(思い出) 麗江到着時、ドライバーさんが、白いストールのようなものを首にかけて歓迎してくれました。
このストールは、日本に持って帰ってきて大切に取ってあります。
●3日目
まだ高地に慣れていませんでしたが、標高3500mの老君山の森の散策をしました。方向音痴の私は、みんなの姿を見失わないように必死に歩きました。標高が高いことから思っている以上に体には負担だったのかもしれません。疲れているところに夕食で胃に負担をかけ、胃炎になってしまいました。胃薬を内服することに。
神秘的で美しかった老君山の森。
●4日目
軽い胃炎、車酔いのある中の移動。酔い止めのトラベルミンは、いつもは1/2錠のみますが、だるさも増すので、1/4錠、ぎりぎり効く程度にしました。
少数民族の民家のようなところで、焼いたジャガイモとそばのお団子のようなものをいただきました。胃炎で食欲はありませんでしたが、せっかくなので、ちょっとだけ味見。はちみつを付けて食べました。素朴な味です。その場で作ってくれたようで、現地の人々の暮らしを少し感じることができました。
この日は、みんなチョウ撮影に熱中しましたが、私は体調が万全ではないので、のんびり、できる範囲で楽しみました。草原で眼鏡をなくしてしまいましたが、Y様が見つけてくれました。眼鏡がないと、この先の旅行が不便になるところでした。本当に良かった・・。
●5日目
胃炎はすっかり良くなりました。
この日は、リス族集落を見学したり、チョウ撮影したり。標高も2000m台で比較的楽なため、たくさん撮影ができました。
夜は梅里雪山の見える飛来寺のホテルへ。標高3500m。夜寝ているとき、眠りが浅く、なんとなく吐き気、頭~首筋が重い、脈が速いなど感じました。これが山酔いの症状だと実感しました、胃炎がおさまったら、今度は山酔いか・・。
●6日目。山酔いの症状で、すっきりしないまま出発。車の中ではずっと横になっていました。サクラソウの咲いている美しいところで写真撮影の時間がありましたが、ちょっと写しただけ。だるいし息切れして、動作ものろのろ。
その後、オフロードのような山を車で上がっていきました。
まさにこういう体験をしてみたかった。車の中で横になりながらスリルを楽しんでいました。ちょっとこわいくらいな道でしたが。
雪があり、これ以上のぼれないところまで来ました。これ以上の標高は体調面で心配だったので、雪が道をふさいでくれたことに内心よかったと思いました。正確な標高はわかりませんが、5700m?
ガラスのような美しい青いケシが咲いていました。みんな順番に撮影。
ここからの眺め。ヤクもところどころにいました。けっこう高いところにもいるようです。
動くと息切れする感じは5000mの方が強いですが、もう3000mも5000mも山酔い症状は変わらない感じ。
この後、低い場所に移動し、ほかの人たちは、にぎやかにチョウ撮影をしていましたが、山酔いでぐったりの私は参加せず。チョウはこの日はこの1枚だけ。
まだ6日目なのに、この体調では困るので、ダイアモックスを再開することに。通常量では気分が悪かったので、半分の62.5mgにしてみました。
標高が高いところで曇ると、気温がぐっと下がり寒いです。ダウンの上着が必要なくらいでしたが、荷物を減らすために持っていきませんでした。I様があたたかい上着を貸してくださり、この後の4~5日、とても助かりました。
●7日目
雲南省から四川省へ。ちょうど検問所で車のタイヤがパンク。ドライバーさんが速やかにタイヤ交換をしました。中国の警察は怖いイメージがあるため、そおっとやり取りを眺めていましたが、ここの警察官は威圧的ではなく、心配そうにタイヤ交換を見てくれていました。
その後、標高5000mくらいのところに高山チョウの撮影に行きました。ダイアモックスを半分にしたのが良かったようで、不快な症状はなく、山酔い症状も改善され、よい感じ。みんなチョウ探しをしていたと思いますが、私はまだ無理をしないことにして、斜面に座って高山植物を写しました。
●8日目
7日目と同じ場所に高山チョウの撮影に行きました。ダイアモックスが良く効いて、息切れのみで、すっかり吐き気や頭が重い感じはなくなりました。高地順応に成功です!
おかげで、短時間しかチャンスがなかったのに、珍しい高山チョウを写すことができました。
5000mの高地は寒かったです。正確な気温はわかりませんが、帰る頃は、5~6度だったかもしれません。もし天気が良かったら、このチョウはたくさん飛んだと思います。
●9日目 ツアーの人たちは何人か風邪をひいていましたが、私もうつってしまいました。咳が出て、山酔いとは違うだるさ、のど痛みが・・。山酔いを克服したら、今度は風邪・・。
この日は稲城・亜丁自然保護区へ。標高4000mにある観光地です。風邪をこじらせないかだけが心配でした。
トレッキングのコース内にあった休憩所です。ここで飲んだあたたかい甘いミルクティーのようなもの、ほんとうにおいしいかった。
ツアーの中には、ここで酸素が必要になった方が2名いました。
やかんの左にあるのが、酸素の入ったスプレー缶。吸入するとすごく楽になるそうです。
標高4000mでの宿泊でしたが、風邪のための熱とだるさ、軽いのどの痛みが不快でした。
Y様から葛根湯をもらいました。
●10日目
稲城・亜丁から香格里拉までの移動。風邪の症状自体は軽いのですが、こじらせたら大変と思い、車の中でずっと横になっていました。雨が降った後なので、道のあちこちに軽い土砂くずれのあとがあり、
時々小石が転がってくるのを見かけました。1か所土砂で道がふさがったところがあり、ブルドーザーが作業していて、開通するまで30分くらい待ちました。
夕食は、あたたかく栄養たっぷりの野菜と魚のスープがメイン料理。風邪にはぴったりな夕食でした。
それにしても、総合感冒剤を持ってこなかったのは、抜けていました。
烏里さんが、薬局で風邪薬を買ってくれました。成分がわからないものを飲むのは心配でしたが、検索したところ、この薬は、生薬が数種類、アセトアミノフェン、ウイルスの増殖を抑える成分が入っているようです。(南板蓝根、大青叶、金盏银盘、岗梅、山芝麻、对乙酰氨基酚、穿心莲叶、盐酸吗啉胍)良く効きました。
●11日目
香格里拉から麗江へ移動。ちょっと不調でしたが、風邪のピークは越した感じ。
途中、香格里拉郊外のドライバーさんのお姉さんのご自宅を見せていただきました。チベット族で、6~7人の家族で住んでいる通常の家とのこと。あまりに広くてびっくり!大きな温室のようなお寺のような・・。このあたりのチベット族は農業をしていて、みんなこのような広い家に住んでいるそう。柱の太さを競っているとか。
午後麗江に着いて、11日目にしてやっと都市の観光をして、また違った楽しさを味わいました。
ホテルの窓からの景色。やはりここは日本じゃないな~、ということを実感。
●12日目
飛行機で成都へ。まだなんとなく調子悪いので、ホテルで休もうかと迷いましたが、成都の古い街の観光に出かけました。出かけるとなぜか元気になりました。中国最後の夕食は、高級なレストランに連れて行ってもらいましたが、疲れから食欲なく、味見程度にしか食べていません。(少ししか食べなかったこと、今、とても後悔・・)スイカのジュースは、ナチュラルな味で、とてもおいしかったです。
●13日目
帰国の日。
搭乗券を落として、ヒヤッとしましたが、Y様がすぐに見つけてくれました。本当に何度もピンチを助けていただきました。
もう搭乗が始まっているというのに、ギリギリまで買い物。風邪は治っていませんが、こういう時はパワーがでるものです。成都の空港内のセブンイレブンで、自分用のおみやげにパンダを購入。
背中の丸みが、かわいい。名前と年齢(1歳)の書いてあるカードも付いていました。
成田空港に着いてから、まず旅行中に欲しかった電解質飲料(ソルティーライチ)を買って、バスで帰りました。
今回の旅行は、全体を通して普段の6割~7割の体力で活動した感じです。無理はしないようしていたので、大きく体調を崩すことはありませんでしたが、周りを見ていると、標高が高いところでは、ちょっと頑張ると一気に体調を崩すこともあるので、危険だと思いました。
(今後について)
・東チベットはいろいろと魅力的で、また行きたいと思う地域でした。もし次回があるとすれば、私の場合、ダイアモックスを最初から上手に使うことに尽きると思います。今回は初めてだったので、模索しながらでしたが、今後、標高の高いところに行くときは1回量は、62.5mg(通常量の半量)で。
・買い物は少ししかしませんでしたが、スマホの中国語翻訳機能を使って、積極的に買い物をしたいと思いました。
(持っていけばよかったもの)
・スポーツドリンクの粉、ウエットティッシュ、風邪薬、ビタミン剤、トイレットペーパー、洗濯洗剤をもっと多く、あたたかい上着・中国のお金(空港以外クレジットカードが使えない)
(持って行ってよかったもの)
・100円ショップのポンチョタイプのレインコート→雨がよく降った 防寒になった 軽い
・ハイソックス ゆるいスパッツ→足が疲れにくい 防寒
・つばの広い柔らかい帽子→紫外線除け
・ダイアモックスも含め、いろいろな種類の薬
・ポイズ→トイレに行きにくい時、精神的に安心
(よく活用したもの)
・スマホ→スナップ写真はスマホでよい 撮影場所も記録されているので、あとで振り返るのに便利、気軽に写せる、中国語翻訳機能で、困ったとき便利
この旅行は、昆虫写真家の海野和男先生とチベットカム山岳研究会の烏里烏沙さん(四川省出身)が企画したものですが、海野先生がいるということで、中国に行ってみようというきっかけになり、烏里さんによって、普通は行けないような場所に連れて行っていただき、安心して中国旅行ができました。
いろいろと、本当に楽しかった。
プロフィール
●黒須瑞枝(皮膚科医)
●出身地:北海道
●出身校:獨協医科大学
●趣味:旅行、写真(昆虫、植物、生き物、風景、日食、月食、星空など、自然のものなら何でも)
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