診療内容

●じんましん(蕁麻疹)とは

皮膚の一部が突然に、蚊に刺されたかのように、盛り上がり(膨疹)、かゆみが出て、しばらくすると跡かたなく消えてしまう病気です。

2〜3mmの円形の細かいものから、直径10cm以上の地図状のものまでさまざまです。

じんましんの症状は、主にヒスタミンとよばれる物質によって起こります。何らかの刺激で皮膚の肥満細胞からヒスタミンが放出されると、血管に作用して皮膚のふくらみや赤みを、神経に作用してかゆみを起こします。

じんましんの発症や悪化の背景因子としては、ウイルス・細菌感染、疲労・ストレス、食物、運動発汗、日内リズムなどが知られていますが、特定は難しいです。

●じんましんのタイプ

大きく3つにわけられます。

1.特発性じんましん

原因がわかっていないもの。(約7割)

・急性じんましん
症状が6週間以内におさまるの

・慢性じんましん
症状が6週間以上続くもの

2.刺激誘発型

明らかな原因があるじんましん。(約3割)

・物理性じんましん
皮膚に対する摩擦などの刺激(ベルト、腕時計などのこすれやすいところにできる)、寒冷・温熱、振動、日光があたることで引き起こされるもの。

・アレルギー性じんましん
食べ物(くだもの、エビ、カニなど甲殻類、小麦、牛乳、卵、ソバ、ピーナッツなど)、薬(抗生剤、消炎鎮痛剤ほか)、植物、虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こるじんましん。通常、アレルギーの原因物質を食べたり、それらに触れたりした数分後~1、2時間後に症状が出ます。

・食物依存性運動誘発アナフィラキシー
原因食物を摂取しただけでは症状は出ないのですが、その後運動することによって、じんましんを発症するもので、小麦や甲殻類の摂取、消炎鎮痛剤の内服後に生じやすいといわれています。

・非アレルギー性じんましん
サバ(鮮度の落ちた)、タケノコ、造影剤の静脈注射など

・イントレランス
アスピリンなど消炎鎮痛剤、サリチル酸、人工着色料、防腐剤を多く含む食品

・コリン性じんましん   
入浴や運動、または精神的な緊張によって体温が上がり、発汗に伴って起こじんましん。かゆみ、またはピリピリとした痛みと赤みを伴う3~5mm大の小さい膨疹または紅斑(こうはん)ができます。これらの症状は、通常数分から2時間以内に一旦自然に消えますが、再び発汗する状況になると、同じ症状が繰り返し現れることがあります。

3.それ以外の特殊なじんましん

・甲状腺疾患、ウイスル性肝炎、胃炎などが背景にあって蕁麻疹が起こりやすくなっている。

・膠原病、血清病、血管炎などのように、皮膚を含む全身の病気の一部としてじんましんがあらわれる。

・血管性浮腫(まぶたがくちびるが突然腫れる)遺伝性のものもあり。

●治療

・原因除去

・抗ヒスタミン薬内服 症状に応じて1~2種類内服。

・抗ロイコトリエン拮抗薬

・トラネキサム酸内服

・グリチルリチン注射

など

・クロタミトン外用

・ステロイド外用
蕁麻疹を掻き壊すことによって生じた湿疹に対して。

・重度の急性じんましん、粘膜の浮腫など全身症状を伴うものは、ステロイド内服、点滴。

※いろいろな薬を試しても症状が治まらない重症な方は専門病院で、

・オマリズマブ(注射)

・免疫抑制剤

・ステロイド内服

などの治療が検討されることがあります。

●経過

特発性の急性じんましんは、たまたま一度だけ現れるか、繰り返して起きても6週間以内に起こらなくなります

物理性蕁麻疹やアレルギー性蕁麻疹など、原因のはっきりしているものは原因刺激を避けることで症状は起こりません。刺激に対する過敏性にしても、何ヶ月、あるいは何年かの時間が経過するうちに次第に低くなることが多いようです。

特発性の慢性じんましんは、数ヶ月、あるいは数年にわたり出没を繰り返すことがありますが、多くの場合、薬を飲んでいれば症状をおさえることができます。長期にわたり薬を飲み続ける必要がありますが、症状に応じて薬の量を調節して、日常生活に支障がないようにコントロールしていきます。ほとんどの場合は少しずつ薬の量を減らすことができ、やがては薬を中止できるようになります。自然治癒まで平均6年という報告があります。