黒須瑞枝のブログTreasure hunt in nature
-あちらこちら宝探し-

20221110

11月8日の皆既月食

11月8日は皆既月食でした。2か月くらい前からどこで写そうか、誰に付き合ってもらおうかと、ああでもないこうでもないと考えていました。結局、直前まで決まっていませんでした。また毎日いろいろな用事で忙しく、機材準備や撮影スケジュールを立てるのも直前になってしまいました。

当日の天気は快晴。栃木から茨城の方は特に晴れているようなので、撮影場所は市貝町の芝桜公園にしました。京都にいる大学生の次男が付き合ってくれるとのことで、前日宇都宮に帰ってきました。

市貝町の芝桜公園。家から27キロくらいの距離です。3時半頃着きました。東側はこんな感じ。とても見晴らしがよい場所です。

次男が犬のタロも連れてきてしまいました。タロは大喜び。

いつも日食や月食を写すときは複数のカメラを設置するため、時間的に間に合うかと焦りながら準備してしまいますが、今回は設置そのものを楽しもうと心に決めてきました。そうしたら、軽やかに40分くらいで準備ができました。

 
左から ①OMDEM1Ⅱ BORG107FL 1.4テレコン(超望遠1680mmの撮影用) AP赤道儀 
②5D4 24mm広角(連続食分撮影用) ③天体用に改造した5D2 シグマ14mm広角(皆既時の月食と天の川撮影用) ④双眼鏡

時間は十分あったはずなのですが、あっという間に月の出に。黄色く、くっきりした存在感のある月をみたら、わくわくしてきました。

月を写している私。

OMDを使っての超望遠撮影では、月食中のターコイズフリンジも写すためにホワイトバランスブラケットの機能を使ったため、1回シャッターを押すと12枚くらい写真が撮れてしまい膨大な枚数を写してしまいました。その中のごく一部ですが、アップします。

●OMDEM1Ⅱ BORG107FL 1.4テレコン   低空の満月。

月食が始まりました。

この頃、月が暗くなったため周囲の恒星が次々と見えてきたのですが、そうなるとピントが合ってるのだろうかと心配になってきてしまいました。合わせなおしをしていたら、かえってピントがずれてしまったようで、食の最大時はピンボケ・・。

天王星の潜入時。
またピントの合わせなおしをして、少し改善したかもしれませんが、まだちょっと気になるような、これでいいのか、不安なまま撮影。

天王星が月に隠されてから、肉眼でもこんな感じに月の辺縁からわずかな光が見えてきました。すこし気持ちにゆとりができたのか、今回の月食の長い経過中で、いちばん印象に残っている時の月の姿です。

天王星の出現。

出現時は、月が明るくなってきていたので双眼鏡では確認できませんでした。

全経過快晴で最後まで見届けることができました。

●食の最大時頃 天体用5D2 14mm広角  ソフトフィルター。

月、木星、天の川。

この場所は明るいのか、空気がもやもやしていたのか、天の川はうっすら見えた程度。

●5D4 24mm広角 5分おき連続食分撮影 Psで比較明合成。

一度、設定変更を忘れてしまった時がありましたが、7段階のブラケット撮影しているので、何とか補正して完成させることができました。自分ではこの写真は気に入っています。

連続写真の終了は22:00ころ。途中見に行くと、タロは運転席でぐっすり気持ちよく睡眠。
次男はカップヌードルやお弁当を食べたり、スマホで時間をつぶしていました。長い時間でしたが、少しもせかしてくることなく、思う存分、私も没頭できました。

終了して片づけてから月食観測無事終了の打ち上げということで、駅東の焼肉キッチンスタジアム10へ。ここは深夜まで営業していて、夜遅くでもとてもおいしい焼肉を食べることができます。

付き合ってくれた次男には感謝なので、好きなものを食べてもらいました。

天気に恵まれ、長時間なのに疲れすぎることなく良い時間を過ごすことができました。

今回の月食では、楽しむことができればいいかと、のんびりした気持ちではいましたが、いくつか躓いた事や不便だったこともありました。逆に前進できたこともあります。

●今回躓いた事、今後の課題

・超望遠のピント合わせを正確に行いたい。

・連続食分撮影の時、スマホで時刻の確認をしていたので、いちいちめんどうだった。時刻がすぐわかるように暗い所でも見えるデジタルの大きめ時計を置くようにしたい。

・カメラの露出変更の計画表は分かりやすく書き、見やすいところに貼る。

・コンパスグラスで方角を確認し、磁器偏角分を補正しても、月の出てくる場所が予測よりかなりずれてしまい、広角写真の構図に影響してしまう。もっと正確に予測したい。

●前進したこと

・AP赤道儀に慣れてきて、使いやすくなった。極軸合わせもできるようになってきた。

・設置の手際も良くなってきた。

とりあえず、今年の大きな天体イベントがおわり、ほっとしています。次は何を目標にしようか・・
少し休んでから、考えます。


プロフィール

●黒須瑞枝(皮膚科医)
●出身地:北海道 
●出身校:獨協医科大学
●趣味:旅行、写真(昆虫、植物、生き物、風景、日食、月食、星空など、自然のものなら何でも)

“11月8日の皆既月食” への4件のフィードバック

  1. ecl より:

    どれも素晴らしい月食写真ですね。
    この大きさだとピントを外したように見えませんが、どうなのでしょう?
    私も一番素敵な写真は広角の連続写真だと思います。
    露出の変更が急激ではなく、シームレスで、色の変化も良く分かりとても良い作品に仕上がりましたね。

    ピント合わせのヒントになるかどうか?私の場合です。
    まず現地に到着したら、望遠鏡を外に出し外気にならします。
    明るい恒星を導入してバーティノフマスクでピント合わせ。
    (↑自分のピント合わせ能力に自信がないので、バーティノフマスクは私の必需品です)
    そのあと撮影対象を導入しています。
    フローライトは特に温度変化でピントズレが大きいので、十分に温度順応させてください。

    • cross963 より:

      ありがとうございます。
      天気に恵まれ、時間的にちょうどよいペースで準備を始めることができたので、
      月食の進行に余裕をもってついて行くことができました。
      そうなるとやらなくても良いところでピントの合わせなおしをして、余計な混乱をしてしまいました。
      バーティノフマスクは明るい恒星を使うのですね。今回、普通の恒星でバーティノフマスクを試していて、
      液晶画面に見える光条が小さすぎて、画面もざわついてよくわからなく、その方法は断念してしまいました。
      今度は明るい恒星でチャレンジしてみます。
      こういう1つ1つのポイントを教えていただくことで、ますます前に進めるので、本当に感謝です

  2. kinda より:

    皆既月食の全課程と天王星の潜入と出現をすべて撮影されており、たいへん素晴らしいと思います。連続食分撮影も構図や露出など完璧ですね。赤道儀を用いた撮影では、15分ごとの写真を並べると、地球の影が表現できます。やってみると面白いと思います。

    • cross963 より:

      Kinda様

      ありがとうございます。
      今回、時間的余裕があり、のどかに楽しく月食撮影&観望をしていたため、「あれっ?どうしよう!」と思うところも、わりと落ち着いて対処することができました。連続食分撮影も2~3回構図を変えているうちに、時間が迫ってきて慌ててスタート、背景写真に予想外の光条の入った月が写り、後でどう消そうか‥なんて考えていたら、かえってアクセントになってくれました。(^^)
      地球の影を通過する写真の作成は、いつもよくわからないのでいました。15分おきに並べる方法があるのですね。試してみたいのですが・・、今回最大の失敗かもしれないのが、カメラの日時がリセットされてしまっていて、撮影時刻が記録されていなかったこと。
      食分の程度から予想して並べても無理かな・・。

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